2008年に、宮山で耕作放棄されていた茶園を再開墾した際、南東向きの土手のような急斜面エリアには「べにふうき」を定植したのですが、成園になってから、生育が良くない状態が続いていました(写真1)。この樹勢の悪い「べにふうき」の茶株を抜根して観察してみたところ、直根が地中に入らず、地表面を浅く覆うような張り方をしていました(写真2)。作業が大変な立地条件であっても、自然栽培で美味しい紅茶を作りたいという理由から、急傾斜地に「べにふうき」の挿し木苗を植えたのですが、このような状況から、せっかくの立地条件を活かすことが出来ない状態となっていると判断しました。
そこで、今回と、2020年の「キトロデ2茶園での改植」の際に茶株を抜根した時の状況より、急傾斜地茶園での根の張り方の違いから適する植栽茶樹を考えてみたところ、茶園の傾斜度がきつくなればなるほど、実生茶樹が植栽されている方が立地を充分に活かせるお茶づくりができるのではないかと考えました(図1)。
たった13年で改植することになり、遠回りをしてしまいましたが、「さやまみどり実生」を植え直し、再出発しました。(2021年4月)