月ヶ瀬健康茶園

文明語る

月ヶ瀬グリニッシュ紅茶について

「奈良・月ヶ瀬ならでは」の冷涼な気候・風土を意識しながら栽培したファーストフラッシュの紅茶

自然界の植物と同じようにお茶も木も、赤道に近く太陽の光を強く浴びて生育する茶樹からは「大きな葉」が育ち、赤道から遠く離れた冷涼な気候で生育する茶樹からは「小さな葉」が育ちます。奈良・月ヶ瀬は、冬が長くて新茶の収穫時期が遅く、春から秋までの新芽の生育期間が短いことから、世界そして日本の中でも、赤道から最も遠く離れた冷涼な気候・風土の茶産地の一つとなります。よって茶園管理において意識的に「ゆっくり」「小さく」「収穫量(回数)を少なく」栽培するサイクルを構築することで、「奈良・月ヶ瀬ならでは」の清涼感のある繊細な美味しさを表現できるお茶へと育ちます。また、このように育つ茶樹は、冬季休眠中に栄養分を幹や根っこに貯蔵し、休眠期間が長い程、貯蔵栄養分も豊富になり、この栄養を源に芽吹くのがファーストフラッシュとなります。

そういったことから茶樹の生育環境の過程より、「奈良・月ヶ瀬ならでは」の冷涼な気候・風土で育ったファーストフラッシュを活かすことを前提に作り上げたものが月ヶ瀬健康茶園のグリニッシュ紅茶となります。

赤道直下で育つ茶葉と奈良・月ヶ瀬で育つ茶葉を比較する

 

萎凋の香りを活かし、発酵時間を0分~30分で止めた紅茶

収穫した新芽を紅茶に加工していく時、香りが出る工程が二回あります。一回目は収穫した新芽を萎らせる「萎凋(いちょう)」工程です。新芽が萎れると、甘酸っぱいリンゴの皮のような爽やかな香りが出ます。二回目は「発酵」工程です。萎れた新芽を揉むことで発酵が始まり、新芽が紅色へと変化することで香りが出てきます。しかしながら、紅茶製造時に、どちらの工程でも良い香気が発揚することは稀で、太陽の光を強く浴びるなど、生長が早くて大きな葉に育った新芽は発酵で特徴的な香りが出る傾向があるのに対して、寒暖差がある等、ゆっくり生長して小さな葉に育った新芽は萎凋で特徴的な香気が発揚する傾向があります。そのような傾向を考えながら両者の絶妙なバランスを意識して製茶するのが一般的な紅茶づくりですが、紅茶の製法で、萎凋香の特徴が際立つよう意識して製茶したものが、月ヶ瀬健康茶園のグリニッシュ紅茶となります。

紅茶なのに発酵が進みにくいように意識しながら製茶した紅茶

収穫した新芽に傷がつくと、そこから発酵が始まります。そのため萎凋工程では15~20時間もの間、新芽を静置することで爽やかな萎凋香がしっかりと発揚するまで待ちます。続いての揉捻工程では出来るだけ新芽が破砕しないようゆっくりと揉み込んでいくため、「新芽まるごと」の形状の状態で作り上げていきます。また製造時の室温が高いと発酵が進みやすい製造環境となるため、気温が低い環境で製茶することが望ましい紅茶となります。このように、紅茶なのに発酵が進みにくいように意識しながら作り上げたものが月ヶ瀬健康茶園のグリニッシュ紅茶です。

萎凋工程では、人工萎凋槽で15~20時間かけて静置萎凋

揉捻工程では、萎凋した新芽の香気が壊れないようなイメージで揉んでいきます。

 

発酵工程。揉捻機から取り出し直後の茶葉。この状態で発酵を止めていきます。

 

淹れ方と風味の傾向

月ヶ瀬グリニッシュ紅茶は、新芽「まるごと」、傷口が少なく、しっかりと揉み込んでありますので、煎が効き、抽出には時間がかかりますが、渋味や雑味なく、すっきりと飲んで頂くことができます。熱湯を注ぐと葉脈を伝い、時間をかけて製茶した工程の反対の過程を辿りながら、ゆっくりと茶葉が開いて茶液が抽出されていきます。茶葉が開き切る空間のあるポットをお使いください。

 

「さえみどり」から製茶したグリニッシュ紅茶。2023年5月

 

「やぶきた」から製茶した1時間発酵の紅茶(左)とグリニッシュ紅茶(右)。2023年5月