農地造成によって区画整備された茶畑の中には、水や空気が停滞して流れ(動き)にくくなり、茶が育ち難くなる場所が所々に生じることがあります。これは、区画整備の工事の際に、自然の地形を大きく変えて造成したことが原因で起こる現象と考えていますが、造成後も大雨やイノシシが暴れることで暗渠排水や明渠排水が詰まったりすると事態が悪化することもよくあります。当園では、そのような状態になっている所を「滞っている場所」という言い方をしていますが、水が溜まりやすかったり、ガス(ドブ)のような匂いが少し感じたりもします。このようなことから、区画整備された茶畑を維持していくには、小規模な土木工事による管理も定期的におこない続けることも必要だと考えています。
今回は、農地造成の際に、山を深く削り(切土)、削った土を谷側に盛る(盛土)ことで区画整備された結果、切土エリアに「滞り」が生じ、樹勢が悪くなっている所を、改善するための土木作業になります。図にあるように、切土エリアは地下水位が高くなる傾向がありますが、イノシシが土手を崩すことで、さらに空気と水が停滞してしまったことが原因で、茶が育ちにくくなっていると考えました。そこで、山際に沿って、空気と水が抜けていくポイントまで溝を掘り進めることで、地下水位も低くなり、水と空気が動き滞りが解消されていくよう、土木工事を実施しました。
その後、切土エリアの樹勢は良くなり、生育状況は良好です。(2021年8月)