茶園の中に笹が侵入すると手強い雑草となることから、「茶園での笹対策について」、永年の重要課題として取組んできましたが、ようやく明るい兆しがみえてきました。
先ず、笹が手強い雑草だと感じるのは、茶園内に生えた笹を対処せずに放っておくと、数年のうちに、茶にとって代わって優占種となるからです。さらに笹は地下茎で繋がっているので、地中深くに張っていたり、茶株に絡みつくため、掘ったとしても全てを取り除くことが困難だからです。
自然栽培や有機栽培なので除草剤を使わず、自然由来の方法での笹対策となるため、大切だと考えた点は次のようになります。
- 一回の作業で駆除を完結しようとするのではなく、笹の生態を理解して、年々、徐々に衰退していくような働きかけ方を試みること。
- 笹は光合成により栄養を地下茎に貯蔵して年々旺盛になっていくので、光合成できないよう、地上部の笹を刈り(切り)続けること。
- 茶園の隣接部で旺盛な笹林があり、そこから地下茎を通して茶園内の笹に栄養が供給され続けるパターンとなるので、隣接部の笹林も管理対象エリアとなること。
- 茶園隣接部から茶園内に繋がる地下茎を切断して、栄養が供給されにくいようにすること。
以上、4つのポイントを意識しながら、数年間、作業の継続と観察を繰返すなかで、いろいろなことが分かりました。
その一つとして、地上部の笹(葉や茎)を根本から刈り続けていたとしても、地面に直接陽が当たる所では地下茎が伸びていることです。笹は地上部が無くても、地下茎でも光合成が出来るのではないかと思います。やはり手強いのだと改めて感じました。
いっぽう笹を刈り続けながら、複数の地点で経過観察していると、茶園隣接部で笹が生い茂り占有していた所が、ボロギクやセイタカアワダチソウへと植生が変わってくる傾向があり、そこに笹対策の大きなヒントがあるのだと感じました。植生が変わることで、明らかに笹が衰退していると感じたからです。
重要なポイントは、笹を刈る時期(タイミング)で、皆伐することで他の植生に変わるよう導くことです。ただし裸地や痩せた土に笹が生えている場合は、落ち葉等のマルチングや茶樹の樹勢を高める等、地面に直接陽が当たらないようにして、早く他の植生が地面を覆えるよう工夫が必要だと考えています。
引き続き、多大な労力を払うことなく笹と共存できるような茶園管理が行えるよう進めていきます。