あちらこちらの茶園で種を採種した時、大小いろいろなサイズの茶の実があります。観察してみると、在来種から採った茶の実だと茶株ごとに大小いろいろありますが、挿し木で育った品種茶から採った実は大きさが揃っている傾向があります。
そこで茶の実の大きさを決める法則というのがあります。まず茶の実のサイズは、被っている果皮の大きさで決まります。さらに種子親となる茶株が持っている特徴が果皮の大きさを決めています。そのため、種子親として同じ品種から種採りをすれば、茶株や茶園の場所が違っても、実の大きさは揃う傾向になります(表1参照)。ただし、これは大きさ(重量)の話であって、遺伝子的な要素は「種子親×花粉親」によるものになります。
話は変わりますが、一般的には、中国種よりアッサム種のほうが種が大きくなるとされています。しかし「べにふうき」はアッサム種でありながら種は小さいでした。また「ごこう」と「さえみどり」は、ほとんど同じ大きさでした(表1より)。
実生で茶樹を増やしていた時代(昭和40年頃迄)は、品種茶そのものが普及していなかったため、在来の茶株から種を採っていたと推察します。その後、挿し木で茶樹を増やす方法が主流となり、様々な品種のお茶が登録されました。仮に、今の時代、再び実生で茶樹を増やそうとした場合、昔は出来たけど今は出来ないこともある一方、昔は出来なかったけど今なら出来るということもあります。そこに、重要なポイントがあるように思います。