月ヶ瀬健康茶園

文明語る

間引き作業において「淘汰」と「選抜」の違い

2017年春から種を播き始めた実生幼木園では、将来、芽揃いが良い茶園となるよう、少しずつ間引き作業を進めています。
この場合、特徴が似た茶株どうしを残したり自然環境に適応していると判断した茶株を残すことになります。よって周りと明らかに特徴が異なる茶株や、その地点の自然環境に適さないと判断した茶株を抜いていくことになるので淘汰となります。さらに、これは人の判断で行う淘汰になるため、「人為淘汰」という事になります。
いっぽうで、茶の実を播種してから育っていく過程で環境に適応できずに枯れたり病害虫被害などで自然と淘汰されていく茶株もあり、それは「自然淘汰」という事になります。
また、特徴が似ている茶株どうしを残すために間引き作業をする時、明らかに周りの茶株とは異質で超個性的な茶株が見つかれば、それは「選抜」ということにもなります。品種登録できるほどの優良株が出現する確率は、何千本か何万本に一本程度と聞いたことがありますが、複眼的な視点で間引きすることで、「選抜」を目的とした作業も同時に行っていることになります。2017年春から2021年春までの5年間で、20万粒以上の茶の実を播いているので、超個性的な茶株を見逃さない視点が必要なのだと思います。因みに、選抜した茶株は植替えるか、そのまま育てることで、挿し木をとるための母樹園の役割となっていきます。

間引き(人為淘汰)した「そうふう実生」 ハチドダ2茶園 2020年3月

間引き(人為淘汰)した「そうふう実生」     ハチドダ2茶園 2020年3月

間引き前の「そうふう実生」の幼木園。ここから選抜できるほどの超個性的な優良株が出現しているかも観ていきます。ハチドダ2茶園 2020年3月