概要
2013年4月8~12日まで、中国雲南省に滞在中のHOJOの北城さんに同行・企画していただいたものです。
訪問・滞在地域は、おもに中国雲南省の景洪市(西双版納)とその周辺地域、そして昆明市でした。
目的
茶や米の原産地とされている、中国雲南省に訪問・滞在することで、何か大事なことを学ぶきっかけを得たかったからです。
報告
中国・雲南省は、茶そして米などの原産地とも言われ、タイとの国境に近くに位置します。そこでは、野生種の樹齢何百年という茶樹が、山で森のように広がっています。現地では、なんと木に登って茶摘みがされていました。10メートルちかくにもなる茶の木に登って茶を摘むその様子は、日本での茶栽培の常識をはるかに超えるものでした。天に向かって勢いよく延びた野性の茶樹は、その昔、お茶は薬だったということを一目で納得させられるものでした。
現地で見たプーアール生茶づくり
透き通ったように美味しかった食事から得たヒント
現地での食事は、遠い所から食材を運ばず、近くで採れたものだけで料理されたものでした。お茶も料理も、透明度が高いというか、食材どうしの相性が良いというか、ピントが合っているというか、食べ応えがあるというか、何度も食べたくなるというか、言葉では表現が難しいなんとも言えない美味しさでした。
この美味しさの理由は、「雲南省の自然で育った食材であるということ」かつ「雲南省で育った食材だけで調理されているということ」ではないかと推察しました。「地産地消」「身土不二」「一物一体」の観点から、栽培方法や調理方法を考えていくことが、重要なのではないかと感じました。
そこで「人が食べる食材」と「茶樹に施す肥料」という関係で考えた時、生活をしている地域内で育った食材を食べることと、茶樹が育っている地域内で育つ自然の草木を茶園に施すことが、似ているのではないかと思いました。当茶園が取組む「地域に育つ自然の草木を茶園に施す」ことが、まさに「体に馴染んでいくような美味しいお茶」、そして「透き通ったように美味しいようなお茶」づくりに繋がることではないかと思いました。
茶の木が茶の木らしく育つということ
また中国・雲南省チンマイの茶樹が山で自然に育っている様子をみた時、月ヶ瀬で耕作が放棄され茶山で茶樹が自然に育っている光景と重なって見えました。
茶農家として、「育てる人の都合に合わせて茶を栽培すること」と「自然のままに茶の木が茶の木らしく育つこと」は、同じ茶樹であっても別ものであると感じました。
人の管理から解放された、耕作放棄茶園に、今後、重要となるであろうヒントがたくさんあるのではないかと思いました。
2013年4月 月ヶ瀬健康茶園 岩田文明