毎年、5月に収穫して製茶する「一番茶(新茶)」は、その年その年の気候によって、繊細で微妙な違いではありますが、その年ならでは特徴というがあります。
2016年5月に収穫して製茶した一番茶の特徴ですが、お茶の香味を、甘味と旨味のバランスで観た時、2015年と比較して、甘い香味がやや控えめで、すっきりとした旨味も感じる傾向であったように思います。
このような傾向になった原因は、2015年~2016年にかけての冬は例年と比較して地温が高かったためではないかと推測しています。
茶樹は、冬になると耐冬性を高めるため樹体の糖度を高めていき、厳寒期の㋁になると糖度はピークになります。「水は氷るが、砂糖水は氷りにくい」という原理から、寒くなるにつれて、氷りにくい樹体になっていくということです。よって、例年に比べて暖かい冬だったということが、出来上がってきた一番茶(新茶)の特徴として表れてきたのではないかと推測しています。
有機栽培さらに自然栽培であるほど、自然のリズムが育てた特徴を、わかりやすく「飲むお茶として」表現することができる可能性があると考えています。
いっぽう、自然栽培で、その年の特徴を、お茶で表現できるということは、自然のリズムで茶樹がしっかりと健康に育っていると考えてもよいのではないかと思います。