地域内には、茶栽培が辞められてから30~40年も経過し、笹林に変貌した耕作放棄地が、何カ所もあります。このような場所は、近代農業の波に乗り切れなかった場所ということになりますが、「区画整備されず」「昔ながらの地形が大きく壊されずに」に残されていたことになるので、視点を変えれば、地勢を活かす農業ができる環境が残されていたことになります。
私自身が実生茶での自然栽培で大切にしたいと考えるテーマの一つに、産地(地域内)に点在する昔ながらの地形の茶山の各地点で、それぞれの土地の特徴を繊細に表現できるようなお茶が作れるよう開墾していくということにあります。具体的には、「場所の選定⇒地形を出来る限り変えずに表土を深耕する⇒種を直播する・・・・・、」という流れで準備を進めています。このような方針で茶山をつくっていくと、中山間地なので、面積が小さい不整形な茶山が、いくつも点在していくことになります。結果的に、昭和末期~平成時代に進められた、農地の区画整備、集約化によって、作業効率を高めてきたことと反対の取組みをしていることになります。
平成時代は笹が表土をつくり農地を維持してきましたが、令和時代は実生茶を植え、農地に潜在している地力を発揮できるような農業を進めたいと考えています。(2019年3月)