大正11年、日本でいちばん最初に名勝地として指定された中のひとつ「月ヶ瀬梅林」。その梅林内でも、昔は「八谷」「十六勝」と名勝地が選定され、お客さんを誘い案内する名所が名づけられてました。明治36年(1903年)に編集発行された『月瀬八谷十六勝一目八景図』には、「老間」茶園の場所が、16景名所のひとつとして『三面眺望奇絶なり』と紹介されていました(※)。
この老間茶園は、2008年に老間氏より樹齢60以上の在来種の耕作を引き継いだところですが、確かに、名張川V字渓谷の尾根上てっぺんで3方向を眺望できる立地にあります。子供の頃、いつも凧揚げをして遊んだ思い出の場所でもあります。
今冬、この老間茶園隣接部の、昔は畑だった所を新たに借りることができ、整備してから新たに茶の実を植えることにしました。この耕作放棄地内で蔓延る笹や蕨、葛の中に一本の梅の木があり、まずは、これを月ヶ瀬梅林入口付近の畑に移植しました。100年以上前に比べて梅の木の本数が減り見所も集約されていますが、この梅の木には新たな場所で、再び花を咲かせて欲しいと思いながらの作業となりました。
※参考文献:歴史散歩「月ヶ瀬梅林」。著者:稲葉長輝