耕作放棄された茶山を再開墾して、種を植え、除草作業に追われる中で、自然栽培を前提条件とした場合、実は植生(雑草)豊富な茶園環境で実生苗を育てていくことが大切なのではないかと考えるようになりました。その方法が重要かも知れないと思い始めたきっかけは、雑草が良く生えるエリアの方が実生苗の生育が旺盛な傾向があり、とくに雑草の密度や種類が少ないエリアは実生苗の生育も著しく悪い傾向があったからです。
そこで、これまでの幼木園の管理作業では雑草を根から抜くなど雑草を生やさない工夫をしていましたが、これからは雑草に覆われるなど実生苗の生育が阻害されそうになった段階で初めて手をかけるといった方針に切り替えることにしました。具体的な作業内容についてですが、茶の実を植えた後、草木を粉砕した有機物を畝間に敷詰めていくのですが、その有機物に雑草の種も多く含まれているため、畝間には雑草がたくさん生えるようになってきます。そうなると、実生苗は雑草に覆われてくるので、定期的に、株周りは手作業で草引き、畝間はモアーで粉砕して、実生苗の光合成が維持出来るように手をかけています。その際、実生苗を覆い光合成を妨げそうになっていた青草は。モアーで粉砕されることで肥料に変わっていくことになります(動画参照)。実生苗が一年生、二年生、三年生と育つなかで、樹体が大きくなっていく過程で、雑草の生え方もワイルドになりハードな茶園環境になっていくので、それに伴って茶樹が相応の生育が出来ていれば良いのだと感じています。しかし、茶の実を植えて一年目、発芽がうまくいかなかった場合は、雑草だけが繁茂してハードな茶園環境になっていくので、播種一年目の茶園管理は、とくに重要であると考えています。
播種後、4~5年生までは畝間に日が当たる環境ですが、実生茶樹が大きくなり茶園になってくると、畝間は日陰になっていくので、今後、どのように手をかけていけば良いか、要観察です。
このようなことから、「土づくり」という言葉がありますが、自然栽培を前提とすれば、そこで何らかの植物が育ち、植生遷移の過程で土が形成されていくことが大切なのではないかと考えるようになってきました。(2021年7月)
二年生茶園の畝間の除草作業(コイキビロ上 茶園 さやまみどり実生)