当園では先代から続けてきた茶園の他、2006年以降、地域内で耕作を辞められた茶園(耕作放棄茶園)を再生・継続して、3.9ha(19か所)の茶山を増やしてきました。
さらに当園の新規事業として、2017年から2020年の4年間で、約2.5ha(12か所)の茶山を再開墾して、お茶の種を直播きして育ててきた実生茶が生長し、収穫できるようになってきました。未来に向けて新たな茶園の準備が整ってきたことになります。
いっぽう地域内全体の耕作状況についてですが、10年以上前なら乗用型茶刈機が導入が困難な立地条件の茶園の耕作を辞められる傾向がありました。しかし現在は乗用型茶刈機が導入できても、面積が小さかったり斜面である等、作業が非効率な立地であれば辞められる状況に変化してきました。10年前なら耕作を継続されていた条件の茶園も、現在なら辞められる茶園も出てきたことになります。
このような状況になってきたことから、改めて当園の地域内での耕作方針について考えてみました。
1.当園の茶園に隣接している茶園が耕作放棄地になった場合、耕作させてもらう方向性で検討する。
・茶園隣接部が耕作放棄地になることで、陽当たりや風通しが悪くなったり、笹などの雑草が侵入し易くなるため。
・茶園を集約していくことで、草刈り等の茶園管理作業の効率が良くなるため。
・隣接地からの農薬飛散等のリスクが無くなるため。
2.当園の茶園面積の上限を10ヘクタールと見通しを立て、耕作を終了する茶山も検討する
・適正規模での運営を重視するため。
・耕作茶園の見直しをすることで、作業効率や品質向上に繋げることができるため。
やむを得ず耕作を終了しても良いと考える茶山を検討する | |
自然栽培への適応性 | 茶園環境や植栽品種が、無肥料栽培での生育に向いていないと感じる所 |
作業者への負担度 | 急斜面(とくに縦畝急斜面)で足腰への負担が大きい所 |
作業の効率性 | 茶園に辿り着くまでの農道が長く、かつ農道管理(草刈り、木伐り)にも多大な労力が必要な所 |
茶園面積が小さすぎる所 | |
品質や個性の高さ | 茶山であるのに品質や個性が普通で、シングルオリジン(自然栽培茶)での企画販売が可能なレベルのお茶が出来ない所 |
未来予測(自然災害要因) | 将来、何十年に一度という頻度で発生する規模の災害時に土砂崩れが起こる可能性が高い所 |
未来予測(人的要因) | 将来、過疎化が進み、市道や茶園周囲の環境が激変し、営農が困難となるような所 |
その他、考慮する点 | 地主さんとの契約状況。当園が所有する土地かどうか。等々…。 |
以上、様々な要因を検討しながら耕作終了を決めた茶園は、次の通りです。
こうやって検討しましたが、新たに耕作を開始する時より、終了する時の方が、決断力が要るのだと感じました。茶の耕作を辞めた後、それぞれの場所が果たせる役割を考えることも大切だと思います。茶業に携わり25年目となりますが、過去から未来へと変遷を意識した取組みを行い、絶えず地域内で最善を尽くせる茶業を考えていきます。