自然栽培茶園に隣接する所で、これまで地域の方が慣行栽培でお茶づくりをしていましたが、耕作を辞められることになり、当園が引き継ぎさせて頂くことになりました。こういった場合、数か月前迄、農薬や化学肥料が使用されていたので、当園では、しばらくの間、収穫は行わず、整枝や除草管理をしながら、茶樹が自然のリズムで育つようになるまで待ちます。
このように隣どうしの似た立地条件で、農薬や化学肥料を使用していた慣行栽培茶園と、当園が管理する有機栽培や自然栽培茶園を比較した時、畝間の土壌の状態に大きな違いがあります。
慣行栽培の場合、整枝作業で刈り落された茶樹の枝葉は分解されず、形を留めた状態で畝間に堆積している傾向にあり、団粒構造化した黒色土壌の層は薄く、有機物と単粒構造土壌(黄色)の境目がはっきりしたような状態に見えます。
いっぽう自然栽培の場合、畝間に刈り落された茶樹の枝葉は分解され、団粒構造化した黒色土壌が深くまで形成され、茶樹の根も張り、地表から地中へと徐々に土壌化が進んでいるように見えます。
このような違いが生じる大きな要因は、微生物の生息数にあると考えています。有機物は土壌との接着面での分解が進みやすいため、微生物が少ない慣行栽培では有機物と土壌の境目が鮮明であるのに対して、微生物が多い自然栽培では土壌との接着面にある有機物が腐植物になっている事が分かります。慣行栽培茶園の場合、施肥する時は無機物(化学肥料)や堆肥化した肥料を入れる必要があると考えられます。いっぽう自然栽培茶園では、まるごとの有機物を自らの力で分解しながら茶樹が育ち続けることができるような茶園環境になっているのではないかと思います。当園では、このような過程を経ながら、自然のリズムで茶樹が育ち続けるよう意識したお茶づくりに取組むことが大切だと考えています。。